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TL;DR 日本でCBDを選ぶときに見るべきは「ブランド名」ではなく「公的記録」である。確認すべきは5つ。厚生労働省 麻薬取締部への成分分析提出、2024年12月12日の大麻取締法改正後の正規輸入記録、原産国の栽培ライセンス、第三者検査機関のCOA(Certificate of Analysis)、そして抽出方法が天然植物由来か合成か。これらはいずれも法令とエビデンスで検証可能な記録であり、一つでも欠けていれば判断を保留する根拠になる。 |
なぜ「ブランド名」より「記録」を見るべきなのか
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2024年12月12日、大麻取締法が改正された。これまでの「部位規制」(茎と種のみ使用可能)から「成分規制」(THC含有量で管理)へと、日本のCBD流通環境は根本的に変わった。 改正前の規制には建前と実態の乖離があった。参議院の質問主意書(第211回国会)で松沢成文議員が指摘した通り、「植物の特性及び現在の製造技術からも現実には不可能」な「茎と種からの抽出」が法律上の前提とされていた。 改正後、この建前は制度として解消された。しかし市場には改正前の基準で流通していた製品が残っている。消費者がブランドの知名度だけで判断できる時代ではない。 必要なのは、公的に検証可能な記録の確認である。 |
確認すべき5つの記録
ここから紹介する5つは、いずれも「公開されているか/確認できるか」が事実として検証可能な記録である。
記録1 ── 厚生労働省 麻薬取締部への成分分析提出改正法の下で日本にCBD原料を輸入する事業者は、厚生労働省 麻薬取締部に成分分析データを提出し、確認を経る必要がある。これは事業者の任意ではなく、正規ルートの前提条件である。 提出していなければ「正規輸入」とは呼べない。 ここで重要な事実がある。厚生労働省への成分分析提出が必要なのは、天然の大麻草由来のCBDを輸入する場合である。合成CBDの場合、化学合成によって製造されるためTHCが含まれておらず、大麻草由来でもないことから、厚労省への成分分析提出を行っていない可能性がある。 つまり、厚労省への提出記録がない事業者には2つの可能性がある。正規手続きを経ていないか、あるいは原料が合成CBDであるか。実際に「天然か合成か」を事業者に問い合わせた際に「わかりません」と回答する事業者がいる。自社が扱う原料の由来を把握していない、あるいははぐらかす原料事業者やブランドが存在するのが現状である。 確認方法:
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BiBiは厚生労働省 麻薬取締部に成分分析データを提出済みであり、天然大麻草由来のCBDを正規ルートで輸入している。
記録2 ── 2024年12月12日 大麻取締法改正後の正規輸入記録改正前から流通していた製品の中には、改正後の基準を満たさないものが含まれている可能性がある。実際、2024年12月12日以前に販売されていたCBDブランドのほとんどは「茎と種から抽出」という表記を使用していた。これは旧法の部位規制に合わせた表記であり、前述の通り商業的には事実上不可能な抽出方法である。改正後に新規で輸入を開始した事業者は、最初から新基準に基づいて動いている。 「いつから輸入を始めたか」「改正後にどう対応したか」は、信頼性を判断する上で重要な記録である。 確認方法:
注意すべき点として、「2024年12月以前から事業を行っている」ことは「改正後の基準を満たしていない」ことを意味しない。改正後に正しく対応した事業者もいる。その対応の記録を開示しているかが重要である。 |
BiBiは2024年12月12日の法改正と同日に設立され、最初から改正後の基準で輸入を開始している。
記録3 ── 原産国の正規栽培ライセンスCBD原料は世界各国で生産されている。国ごとに大麻栽培の合法性と規制が異なるため、「正規栽培ライセンスを持つ農家から輸入されているか」が確認すべき記録になる。 例えばタイでは政府が大麻栽培ライセンスを発行しており、ライセンス番号で栽培者を特定できる。他の原産国でもそれぞれの法制度に基づいた栽培許可の仕組みがある。事業者が原産国の制度名と栽培者の許可情報を開示できるかどうかが指標になる。 参議院の質問主意書でも指摘されている通り、一部地域では規制が緩い場所で栽培された原料が「正規」と偽装されて流通する事例がある。産地と栽培者の特定可能性は、信頼性の基本的な条件である。 ここで注目すべき傾向がある。「輸入後に原料を再検査している」ことを品質管理の柱として強調する事業者が少なくない。再検査自体は正当な品質管理手法である。しかし、原料の栽培元やロットが特定されていれば、再検査は「確認」であり「唯一の担保」ではないはずである。再検査を前面に出す一方で、原料の出自──どの国の、どの農家の、どのロットかを開示していないパターンが重なっている場合、そのサプライチェーンの透明性については疑問が残る。これは仮説だが、原料の出自がわからないからこそ、毎回の再検査に頼らざるを得ない構造になっている可能性がある。 確認方法:
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BiBiの原料はタイ・パヤオ県の正規ライセンス農家 Phayao Cannavigate Japan Co., Ltd. から輸入している。栽培者名とライセンス情報は公式サイトで公開している。
記録4 ── 第三者検査機関のレポート(COA)COA(Certificate of Analysis)は、CBD含有量・THC残留量・残留農薬・重金属・マイコトキシンなどを第三者機関が検査した結果を記載した報告書である。 自社検査ではなく、独立した検査機関のものであること。ロットごとに発行されていること。公開されていること。この3点が信頼性の最低条件である。 確認方法:
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BiBiの原料は日本側で指定された成分分析手法であるLC-MS/MS(液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法)で成分分析を受けている。製品のCOAおよびTNR Bioscience Co., Ltd. の認証は製品ページで公開している。
記録5 ── 抽出方法:天然植物由来か、合成かCBDには大きく2つの由来がある。天然植物由来(大麻草から物理的・溶媒抽出で取り出されたもの)と、化学合成である。 天然由来と合成由来では製造過程が根本的に異なる。消費者として、自分が摂取するものがどちらに該当するかを把握しておくべきであり、事業者がそれを明示しているかどうかは確認すべき記録の一つである。 現状、CBD原料について「天然」と明記している事業者はほとんどいない。多くの事業者は原料の由来(天然植物由来か合成か)を公式サイトや製品ページで明示していない。明示していないこと自体が、消費者にとって確認すべきポイントになる。 また、「茎と種から抽出」という表記については注意が必要である。Central Lab Thaiでの検証実験(HPLC-DAD/MSD分析)の結果、茎のCBD含有量は150.50 mg/kg(1kg抽出に茎6,645kgが必要)、種のCBD含有量は9.29 mg/kg(1kg抽出に種107,639kgが必要)であり、商業的な抽出は事実上不可能であることが示されている。 確認方法:
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BiBiの原料は天然植物由来であり、タイ・パヤオ県で栽培された大麻草からエタノール抽出で取り出している。
5つの記録を一覧で確認する
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チェックリスト |
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1. 厚労省 麻薬取締部への成分分析提出 確認:事業者に直接問い合わせ/公式サイト 未公開なら → 正規輸入と呼べない 2. 2024年12月12日 改正後の正規輸入記録 確認:輸入開始日/改正後対応の開示 未公開なら → 旧基準のままの可能性 3. 原産国の正規栽培ライセンス 確認:栽培者名・ライセンス番号の開示 未公開なら → 産地不明・偽装リスク 4. 第三者検査機関のCOA 確認:公式サイト・ロット別COA 未公開なら → 成分の検証ができない 5. 抽出方法(天然 or 合成) 確認:事業者に直接質問。「わかりません」と答える事業者もいる 回答できない時点で判断材料になる |
よくある質問
Q1. これら5つを全部公開しているブランドはあるのか
A: BiBiはこの5つすべてを公式サイトで公開している。他の事業者については、この記事の基準に沿って各自で確認することを推奨する。
Q2. 「茎と種から抽出」と書いてある製品は信頼できるのか
A: 商業的には事実上不可能である。Central Lab Thaiでの検証実験で、茎からCBD 1kgを抽出するには茎6,645kgが必要であることが示されている。詳細は「CBD検証実験:果たして茎と種からCBDは取れるのか」を参照。
Q3. 合成CBDはなぜ確認が必要なのか
A: 天然植物由来のCBDと合成CBDでは製造過程が異なる。消費者として自分が摂取するものの由来を把握しておくことは基本的な判断材料になる。また、記録1で述べた通り、合成CBDは大麻草由来ではないため厚労省への成分分析提出を行っていない可能性がある。事業者に「天然か合成か」を質問して明確な回答が得られない場合、その事実自体が判断材料になる。
Q4. THC残留量の日本の基準はどのくらい厳しいのか
A: 2024年12月施行の改正法では、CBDアイソレート/オイルで10ppm、水溶性CBDで0.1ppm、その他で1ppmという基準が設定されている(厚生労働省「CBD製品のTHC残留限度量の区分例」参照)。
Q5. 第三者検査(COA)はどう確認すれば良いのか
A: 製品のロット番号と紐づいたCOAが公開されているかを確認する。確認すべき項目は以下の通り。
- 検査機関の名称が明示されているか
- 検査項目にCBD含有量・THC残留量・重金属・残留農薬・マイコトキシンが含まれているか
- 検査日がロットの製造日と整合しているか
- 検査機関が独立した第三者であるか(自社ラボではないか)
Q6. なぜ多くのブランドはこれらの記録を公開していないのか
A: 業界の構造的問題である。改正前から「茎と種から抽出」と表記してきた事業者が、5つの記録を全て公開すると、過去の主張と矛盾する可能性がある。原料経路の透明化は自社の過去を検証可能にすることでもあり、それを避ける動機が働く。これは個別企業の悪意ではなく、業界全体の構造的な問題として理解すべきである。だからこそ消費者が自ら記録を確認する必要がある。
結論
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5つの記録が揃っていれば、少なくとも正規ルートで流通しているCBDであることは確認できる。一つでも欠けている、あるいは確認できない場合は、その事業者からの購入は判断を保留する根拠になる。 記録の有無は事実の問題であり、ブランドの好みや印象とは無関係に確認できる。 |
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参考文献・引用元
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