CBDと睡眠の関係とは?研究で分かってきた3つのメカニズム
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「最近よく眠れない...」 そんなお悩みをお持ちの方に、注目を集めているのがCBD(カンナビジオール)です。
研究により、CBDが睡眠に関与する可能性のあるメカニズムが分かってきました。どのような仕組みで睡眠をサポートする可能性があるのか、初心者の方にもわかりやすく解説します。
※本記事は情報提供を目的としており、医学的効果を保証するものではありません。個人差があり、すべての方に同様の結果があるわけではありません。
🤔 CBDとは?安全性について
CBDは麻由来の成分ですが、精神作用はありません
CBD(カンナビジオール)は、麻から抽出される天然の成分です。同じ植物由来のTHCとは異なり、CBDには「ハイ」になる精神作用がありません。
🆚 THCとの違い
- THC:精神作用がある成分(日本では規制対象)
- CBD:精神作用がない成分(適切な製品は日本でも利用可能)
🇯🇵 日本での最新規制状況(2024年12月改正)
2024年12月12日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」が施行され、規制が「部位規制」から「成分規制」に大きく変更されました。※7
主な変更点:
- THC含有量による規制:製品中のTHC(Δ9-テトラヒドロカンナビノール)が基準値以下であれば、麻の花や葉由来のCBDも流通可能に
-
厳格な基準値設定:
- 油脂・粉末:10ppm(0.0010%)以下
- 水溶液:0.10ppm(0.000010%)以下
- その他製品:1ppm(0.0001%)以下
この改正により、THC含有量が基準値以下のCBD製品であれば、抽出部位に関わらず適法に流通できるようになりました。
WHO(世界保健機関)の見解: 2018年のレビューで「CBDは一般的に忍容性が良好」と評価されています。※1
💤 研究で示唆されているCBDと睡眠の3つの関係
🧠 メカニズム1:体内リズムとの関わり
CBDは、体内のエンドカンナビノイドシステムという仕組みに関与する可能性があることが研究で示されています。
どのような関係?
- このシステムは睡眠・覚醒サイクルの調整に関わっているとされる
- CBDが特定の酵素(FAAH)の働きに影響を与える可能性
- 結果として、睡眠に関わる物質(アナンダミド)の量に変化が生じる可能性
研究例: 複数の研究でCBDのFAAH阻害作用が確認されていますが※2、これが直接的に睡眠改善につながるかはさらなる研究が必要です。
🌸 メカニズム2:リラクゼーションとの関係
研究では、CBDが心理的な緊張や不安感に関与する可能性が示唆されています。
報告されている作用:
- セロトニン受容体(5-HT1A)への影響
- ストレスホルモンへの関与の可能性
- 心理的な落ち着きをサポートする可能性
※ただし、これらの作用が必ずしも睡眠改善に直結するとは限りません。
💪 メカニズム3:身体的な不調との関係
一部の研究では、CBDが炎症や痛みに関与する可能性が報告されています。
研究で示唆されていること:
- 特定の炎症マーカーへの影響
- 痛みの感受性に関わる受容体への作用
- 身体的な不快感の軽減をサポートする可能性
間接的に、これらが睡眠環境の改善につながる場合があると考えられています。
📊 実際の研究データ
🎯 主要な研究結果
Shannon氏らの研究(2019年、72名対象)※3
- 対象者の66.7%が睡眠スコアの改善を報告
- 79.2%が不安スコアの改善を報告
- 重要:これは症例研究であり、プラセボ対照試験ではありません
⚖️ 研究の限界も明らかに
Narayan氏らの研究(2024年、30名対象)※4
- CBD150mgを2週間使用した無作為化比較試験
- 結果:プラセボ(偽薬)と比較して統計的に有意な睡眠改善は認められず
- 全体的な幸福感の向上は報告されました
📝 研究から分かること
- CBDの睡眠への影響には大きな個人差がある
- プラセボ効果との区別が難しい場合がある
- より大規模で長期的な研究が必要とされている
⚠️ 利用前に知っておきたい注意点
🚨 薬物相互作用の可能性
以下の薬を服用中の方は、必ず医師にご相談ください:
- 抗凝固薬(ワルファリンなど)
- 抗てんかん薬
- 睡眠薬や鎮静剤
- その他の処方薬
📏 一般的な使用に関する情報
研究で使用されている量:
- 開始量:5-10mg/日
- 研究で使用される範囲:25-150mg/日
- 摂取タイミング:就寝の1-2時間前
※これらは研究データであり、個人の使用を推奨するものではありません。使用前は必ず医師にご相談ください。
🏪 製品選びのポイント
品質確認の重要性
- 第三者機関による成分分析証明書(COA)の確認
- THC含有量が日本の基準値以下であることの確認
- 信頼できるメーカーからの購入
表示の確認
- 成分含有量の明記
- 原料の産地・抽出方法
- 製造年月日・賞味期限
🌟 まとめ:CBDと睡眠の現在の理解
CBDと睡眠に関する研究は進展していますが、まだ解明されていない点も多くあります:
🔬 研究で示唆されていること
- 体内システムへの関与 - エンドカンナビノイドシステムを介した可能性
- 心理的側面 - 不安や緊張の軽減をサポートする可能性
- 身体的側面 - 炎症や痛みへの関与を通じた間接的な影響
⚠️ 重要な注意点
- 個人差が大きい - すべての方に同様の結果があるわけではありません
- 研究は発展途上 - より多くの科学的検証が必要です
- 医師への相談 - 特に薬を服用中の方や健康上の懸念がある方は必須
🎯 こんな方が関心を持たれています
- 日常的なストレスを感じている方
- 身体的な不快感を抱えている方
- 自然由来の選択肢を探している方
良質な睡眠は健康的な生活の基盤です。CBDについて関心をお持ちの場合は、まず医師や薬剤師にご相談いただき、ご自身に適した方法を検討することをお勧めします。
※本記事の情報は、医学的なアドバイスに代わるものではありません。健康に関する決定を行う前に、必ず医療従事者にご相談ください。
参考文献・出典
※1 WHO. (2018). CANNABIDIOL (CBD) Critical Review Report. Expert Committee on Drug Dependence.
※2 Leweke, F. M., et al. (2012). Cannabidiol enhances anandamide signaling and alleviates psychotic symptoms of schizophrenia. Translational Psychiatry, 2(3), e94.
https://www.nature.com/articles/tp201215
※3 Shannon, S., Lewis, N., Lee, H., & Hughes, S. (2019). Cannabidiol in anxiety and sleep: A large case series. The Permanente Journal, 23, 18-041.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6326553/
※4 Narayan, A. J., Downey, L. A., Rose, S., Di Natale, L., & Hayley, A. C. (2024). Cannabidiol for moderate–severe insomnia: a randomized controlled pilot trial of 150 mg of nightly dosing. Journal of Clinical Sleep Medicine, 20(5), 753-763.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38174873/
※5 Chesney, E., et al. (2020). Adverse effects of cannabidiol: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials. Neuropsychopharmacology, 45(11), 1799-1806.
https://www.nature.com/articles/s41386-020-0667-2
※7 厚生労働省. (2024). 令和6年12月12日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行されます.
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43079.html